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[No.30083] 質疑回答 投稿者:S&L  投稿日:2007/10/28(Sun) 02:11

前回「いくつかの質問に答えていない」と非難されましたので、回答します。
ここでも再質問にはレスはしませんのであしからずご了承ください。


1. EOS などは1+1/2枚みたいな構成にはなってない気もしますけどね。[m2n氏]

→現実のレンズは高い周波数のMTFが低いことと、画素数が十分にあるので、一枚で1座標系のトラップが済んでしまうようです。分解能の低いホームビデオなどのCCDなどは今でもそうしていると思います。私は例として述べたのだと記憶しています。

2. 下に凸になるのはサンプリングの特性であってローパスは関係ないってことです。

→水晶板そのもののMTFの特性は、R(u)=|cos(π×d÷T)|ですから上に凸です。
しかしレンズのMTFと水晶を掛け合わせれば下に凸になり、それに加えてsinθ/θの関数から来るCCDのMTFを通せば参照にしたグラフのようになります。「トータルでの効果」のつもりで下に凸としました。水晶単独の特性だとnullポイントからすぐに干渉効果が薄れてしまってLPFではなくなっているのもあります。

3.1ピクセル以上遠いところに飛ばして何か意味あると思います?[一般常識氏]

→ニコンでは、1ピクセルの幅より近いところに飛ばしていますが、メーカーによってはより遠いところに設定しても不思議ではないと思います。その場合は偽色が少ない方向になるのでしょう。

http://www.nikon.co.jp/main/jpn/profile/about/technology/nikon_technology/image_processing/index.htm

その後、ニコンのSFRを調べるとD40でもナイキスト周波数より上の成分を残しているらしいことが分かりました。キャノンでは上の成分はほとんどありませんのでここが設計思想の違いだと思います。ナイキストを超える成分があるという事自体が少し不思議です。


[No.30084] 質疑回答-2 投稿者:S&L  投稿日:2007/10/28(Sun) 02:13

3. JPEG SFR からローパス特性なんて想像できるわけない、と僕は思うわけですが。[m2n]

→水晶のカットオフ特性は式の通りですが、実際の効果はCCDとレンズと、補間ロジックのトータルが掛け合ったものでないと意味がないと思いますし、それがLPFの目的とする特性ではないかと思います。補間のロジックがナイキストより上の雑音成分をリダクションしているのかどうかは分かりませんが。

4.
「限界解像度が30ミクロンだとしたら、ローパスフィルターの利きは 60ミクロン
まで及ばせているだろう」30um=5画素と仮定して、36画素から1画素のカラーを復元しないといけないことになります。これではベイヤとしてのカラー復元は不可能です。

→前回も記したとおり、ベイヤー配列とLPFは、null点以下の部分に関してはあまり関係ありません。関係するのは、LPFの精度でしょう。悪いとアルゴリズムが誤作動します。

各種のベイヤーアレイの復元のアルゴリズムによると、5×5以上の範囲画素範囲の情報からエッジ情報の検出や色の変化勾配の推測を行っています。逆に広い範囲を参照しないとベイヤー配列固有の偽色が消せません。
 更にメーカーではLPFがあることによる入射確度の違いによる色ズレの検出ロジックも加味しますし、レンズの色収差による誤作動も考慮に入れたロジックを組んでいます。一つのピクセルの色を決めるのには我々が考える以上に広い範囲のアレイ情報を参照しています。
 ニコンではnullポイントを「少し」大きくしてモアレを多めに発生させてアルゴリズムで処理しています。LBCASTの解像力の低さを補うために必要だったのでしょう。今回のD3でも使っているかもしれませんね。

http://dsplab.ece.cornell.edu/papers/journal/DemosaicORrevisionFinal.pdf


[No.30085] 質疑回答-3 投稿者:S&L  投稿日:2007/10/28(Sun) 02:13

5.
別投稿で、一般常識さんが書いていた、信号処理で偽色を無くすことが出来ると書いてある本の中身を添付します。

→後から思ったのですが、偽色取りには二種類あるんです。「僅かに残った偽色を取り去る」ものと、「LPFで積極的に取り去る偽色」です。私がこのコメントに対し想定していたのは、「積極的に取り去る偽色」のほうです。デジイチでローパスフィルターを全く使用しないでやってしまおうという場合です。これに関しては成功した例がないはずです。それで、「まさか!」と記しました。携帯やコンデジは、画素が極めて小さいことと、レンズの性能の制約の観点から、ローパスフィルターは最初からなくても良いようです。僅かに残ったものの補正はアルゴリズムで補正できるのですね。そういう意味では一般常識さんのコメント正しかったのです。それが分かっていたので、「低性能の」云々という文章にしました。

6.ちなみに、斜め45度方向の解像度はRもGもBも同じですよ。[一般常識氏]

→これは何回見ても私には理解できませんでした。斜めではRRRRRと水平の√2倍のピッチで画素が並んでいるように見えるし、その他の色は、どうみてもRGRBRGRBですから、各色毎には2√2倍のピッチにしか見えないのです。同じピッチになるというのがとても不思議です。下記の文献にもピッチ違いの弊害の除去の手法が述べられているくらいです。45度方向が同じとはとても思えません。

http://dsplab.ece.cornell.edu/papers/journal/DemosaicORrevisionFinal.pdf


7.今の携帯電話用カメラも初期の頃は水晶LPFを入れて擬似着色を防いでいました。でもわたしが信号処理で擬似着色をけしてLPFを省いてから、他社も右に習えになりました。[一般常識氏]

→CCDの画素数が上がると誰がやってもそうなるように思います。


[No.30086] 質疑回答-4 投稿者:S&L  投稿日:2007/10/28(Sun) 02:15

8.斜め方向は全く違うし、R,B成分は完全に半分の周波数しか再現できないし、、、、[最近こういう知ったかぶりが多くて困る氏]

→RG成分のナイキストが倍低いというのは、そのままサンプルするならその通りです。しかし、それを補間してほとんどオリジナルを正確に再現するアルゴリズムが常識化しているのは別スレッド(■キャノンのベイヤー配列の謎)に記したとおりです。結果として三色同じ解像度です。斜め方向は6.でも記したように√2倍シフトしますが、LPFの特性も√2倍シフトしますから何も換わりません。昔のように素子の解像度と配分精度が悪い時代は斜め方向にもう一度やっていたのでしょうが、どちらも改善された今は、x-y方向のみで特に問題ないようですし、イオスはみんなそうなっています。

10. カーツの法則[最近こういう知ったかぶりが多くて困る氏]

→カーツ:Amrom H. Katzは(キャッツと発音するかもしれません)米国の物理数学者です。Katzの法則では、総合解像度は悪い要素に収れんするとしています。下の経験式が知られています。解像力はそのまま変換されないということです。離散データの集積のデジタルになると全然話は違ってきて、総合解像力などはコンボルーション:畳み込み積分という手法が必要とのことです。私にはその計算はできません。
1/R = 1/R1+ 1/R2 +  ---  + 1/Rn
Rn: 解像力に関係する光学系要素個々の解像力(本/mm)


11.カメラに対して、MTFとは普通言わないなぁ[最近こういう知ったかぶりが多くて困る氏]

→カメラと言ったのは、CCDのフィルファクターやnullポイントの設定、補間アルゴリズムなどトータルで見ないとレンズのアウトプットとならないのでそう言いました。確かに私の造語です。CCDが単独でMTFに寄与する部分の割合も大きいですが。

12.ナイキストって物理的に決まってしまうものなので、「みなす」ってのは??[最近こういう知ったかぶりが多くて困る氏]

→LPFのnullポイントの設定が完全にナイキスト周波数ではないと考えたので、そう発言しましたが、言い方を誤ったようです。LPFがなんであろうともナイキスト周波数は、画素ピッチですね。ニコンではCCDのナイキスト周波数以上の周波数データを得ています。それがとっても不思議です。モアレだとは思うのですが、テストによるとモアレは見られないとか。


[No.30087] 質疑回答-5 投稿者:S&L  投稿日:2007/10/28(Sun) 02:16

14.
今度はレンズのダイナミックレンジですか?カメラのMTFとか言ってるし、[最近こういう知ったかぶりが多くて困る氏]

→レンズにもダイナミックレンジはありますよ。これはレンズの受けることのできるパワー「集光力」といいます。MTFが高いということもダイナミックレンジが広いということになると思います。レンズの集めた光のエネルギーを如何にフルに取り込むことができるかが、これからの課題です。キャノンではベイヤーアレイではなく二色同位置にしてダイクロイックプリズムで分離するアイデアなど、1/3の有効率しかないベイヤーアレー以外のシステムも研究しています。この面での性能は素子が新しいほど良いです。5Dは1mk2より世代が新しく、「実際写すと5Dの方が良い」というカメラマンは多いです。


15.
(ベイヤー補間のロジックについて)
全然難解じゃない。難解だと思うあなたよりわたしが上。[最近こういう知ったかぶりが多くて困る氏]

→別スレッドにアルゴリズムのスレッドをたてましたので、[最近こういう知ったかぶりが多くて困る]さん是非わかりやすい説明をお願いします。未だに私には数学の羅列で難解です。数学の本もう一度読み直しているところです。

16.
ほぉ〜、開口率100%とすると、周波数特性はsinc関数になるな。1から突然0になることはない。こんなの常識だと思うが、、、、、[最近こういう知ったかぶりが多くて困る氏]

→そうですね。sinθ/θで、フィルファクターがa=bの場合は、一番MTFが落ち込むカーブです。ナイキスト周波数の部分でMTF=0.636の値で分かってはいたのですが、参照した監視カメラの設計者さんのサイトにそのような説明があったのでそのように記しました。フィルファクターが小さければほぼ1とみなして問題ないと思います。


[No.30088] 質疑回答-6 投稿者:S&L  投稿日:2007/10/28(Sun) 02:17

質疑回答-6
画像サイズ: 600×623 (99kB)

17.
ちゅうことは、錯乱円と素子1個分の面積比を考えると、錯乱円の広がりの中に12画素くらい入ることになる。この引用の人は4,5画素って言っているんですよ。つまり、錯乱円の直径は2画素分程度ってことですよ。あなたの計算で、最後の5,の計算は間違っているんですよ。[一般常識氏]

であるならば、30um=5画素と仮定して、36画素から1画素のカラーを復元しないといけないことになります。これではベイヤとしてのカラー復元は不可能です。[m2n氏]

→これに関しては別スレッドにも記しましたが、私の引用先の人が間違っていました。正確には18画素の拡がりにしているとのことです。あなたたちの想像より広い拡散のさせかたです。「光の鉛筆」を本屋でご確認ください。あるいはすでにお持ちかもしれませんが。30μ説はカメラマンなら大昔から誰でも知っている話だと思います。このエアリーディスクは、性能のパラメーターであって画像情報をそのまま表現しているわけではありません。

18.
どうもあんたは、光の波長と、画像の空間周波数を分かってないような書き方をする。[一般常識氏]

→確かに、分かっているようでいて分かってないです。最初のローパスフィルターを通るときに異常光と常光が干渉を起こしますが、よくよく考えると偏向方向が90度違った振幅の異なる直線偏向波が2つ重なると楕円偏向になります。また、組み合わせによっては1/4板のおかげで逆に円偏向から直線偏向に変わるものもあるかもしれません。一般的な説明では直線偏向から円偏向への変換としていますが。
いまのところ、nullポイントが直流成分のグレーということは、画像のコントラストを悪化させる成分になるので、その光がどこにいってしまったのか数式では判らないのが私の未解決なところです。どのMTF図を見ても最大値は1.0です。直流成分や拡散した成分がどこかにあるとしたら1.0にならないと考えています。


[No.30089] 質疑回答-7 投稿者:S&L  投稿日:2007/10/28(Sun) 02:18

19.
うん、何もわかてないどころか、全く間違っています。YHとYLで成分が違ったら、空間周波数成分によって、色再現が変わるじゃないですか!(笑)何考えているんだか、、、、
実際には、Y=0.257R+0.504G+0.098B(オフセット16は最後で足す)で計算しています。このとき、Gのナイキスト周波数で振幅0になるLPFとR,Bのナイキスト周波数で振幅が0になるLPF(おおむね前述のLPFの半分の周波数を0にする)があり、前述の高い周波数まで通すフィルタをH、後述の低い周波数を通すフィルターをLであらわすと、YH = 0.257RL + 0.504GH + 0.098BLで輝度成分をつくり、Cb = -0.148RL - 0.291GL + 0.439BL Cr = 0.439RL - 0.368GL - 0.071BLのように、低い周波数成分で、式差信号を作ります。[一般常識氏]

→キャノンの特許公開資料によると以下の資料のように説明しています。この説明をどう判断なされますか?キャノンの設計者の方々は全く間違っているのでしょうか?

「輝度成分の抽出は、例えば、色調整対象の画像がIEC61966−2−1に記載されているsRGB色空間で表現されている場合、ガンマ変換と3行3列のマトリクス演算により、CIE1931XYZ(http://www.cipa.jp/hyoujunka/kikaku/pdf/DC-X004_J.pdf)に変換する。」

「輝度成分の抽出は、前述の処理を簡略化し、ガンマ変換を省略してマトリクス演算のみで行うようにしてもよい。また、CIE1931XYZの代わりにYCbCr色空間のY値を輝度成分、Cb,Cr値を色成分としても良い。一例をあげると、RGBからYCbCr色空間のY値への変換は、次の変換式であらわされる。
[数式1]
Y=0.299×R+0.587×G+0.114×B
この式の代わりに、次のような近似式(数式2)を用いてもよい。
[数式2]
Y=(3×R+6×G+B)/10
また、輝度成分の近似値としてRGB信号値のGを用いたり、RGB各信号値の平均や最大値を輝度として用いてもよい。」

このように色情報への変換演算はいろいろあったので、私は比較的あちこちで見かける変換式としました。
「これしかない!」ということはないと思います。

20.
ところで、S&Lさんは軸上色収差のあるレンズがとてもお嫌いの様ですが、二段も絞り込んだら消えますので、[香織淳士]

→それは誤りです。軸上色収差は絞っても消せません。消すことができれば、フローライトなどは要らないことになります。フローライトは主に軸上色収差を消すのが目的です。絞って消せるのは、球面収差とハロと一部のコマです。色収差は、それぞれの球面収差に更に輪をかけてかかってくるものですから、球面収差の減少とともに多少は減るかもしれません。球面収差図を見ると良く分かりますが、フローライトでないと青の色は、収差図の原点は通りません。テレフォトレンズは、青色のにじみ。レトロフォーカスは、赤色のにじみとなることが多いです。レンジファインダーライカの50ミリとキャノンFD50ミリの違いで一番大きいのが、この軸上の色収差です。やはり対称型は有利です。倍率色収差の補正ソフトは、実際に使ってみると解像力が落ちる副作用があるので、一長一短です。ウェブにアップロードする程度の画像であれば使えると思います。副作用なく補正するのはいまのところは無理な印象です。いずれ改善されるものとは思います。