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[No.23765] 特許のお話 投稿者:なまい  投稿日:2006/07/28(Fri) 13:02

特許にご興味のある皆様、なまいです。

お隣のEOS-D-SLR BBS から引っ越してきてまいりました。
http://www.eos-d-slr.net/digi_bbs/wforum.cgi?list=tree&no=37152&mode=allread#37196

松下がどうしているのかは存じ上げませんが、少々長いかもですが
かいつまんでコメントさせていただきます。


> 特許については詳しくないのですが、特許を取らず非公開にしている場合、
> 万が一他社が同じ技術を後から開発し特許を取っちゃったりすると、今まで非公開で
> 使用してきた松下は、その技術を使えなくなっちゃったりする危険はないんですかね?

日本では先に発明して実施してたよ!って証明ができれば、先使用による通常実施権が
与えられます。すなわち、無償のライセンスが自動的に与えられた状態になるので
その技術を使えなくなっちゃうことはありません。でも独占はできないと。
他社としては基本は独占できるけど先使用者に対しては文句は言えないと。
そんな感じです。


> アメリカは特許を先に発明した人に与えられるので、特許を発明した時間を証明できるよう
> にすれば、アメリカでは特許の申請が遅れても特許がとれると思います。

アメリカでも、いくら先に発明した者勝ち(先発明主義)だからといって、
発明を実施してから出願するのがあまりにも遅れると、発明の放棄又は秘匿と
みなされて特許を受けられないことになります。
後出しジャンケンみたいのはいかんでしょーという感じです。

先発明主義は、同一の発明がそれぞれ別の日に出願されていた場合に、
発明日はオレのほうが先だよ!といって、出願が後の人でも対抗できるものです。
ちなみに日本だと先に出願したもの勝ち(先願主義)なので、いくら先に発明してても
出願が遅れると特許は取れなくなります。


> アメリカだと特許を秘密にしたい時に、発明を軍に軍事機密に指定してもらえば、
> 万が一他社が同じ技術を後から開発し特許を取ろうとしても阻止できると聞いた事があります。

いわゆる秘密特許というのは、お国に国家の安全を害すると判断されちゃうと
特許するのを保留されたりその発明を秘密にしろ、と命令されるようなものなので、
どちらかというとあんまりうれしくないほうでしょうか。

ちなみにサブマリン特許というのは、後出しジャンケンとは多少異なっていて、
出願は早い段階でちゃんとしているんですよ。
米国では以前は特許になるまで公開されなかったのと、権利期間が特許になってから
17年とかだったのです。そんな制度だったので、特許になるまでの審査期間が
メチャメチャ長くなっちゃって、出願から5年10年経ってようやく特許になると、
出願が大昔で今じゃ普通の技術となっていても、誰も出願していたことなんて
知らないわけですよ。んで突然特許になったから侵害だ!ってなことで
問題になっていたんですね。
今は改正されて権利期間は出願日を基準に計算するようになったし
公開制度もできたのでサブマリン問題は一応落ち着いてきておりますが。

日本の場合は出願すると1年6ヶ月で自動的に出願公開されるので
そういう問題は起こりにくいです。


> 逆に発明日時の証明がはっきり出来るなら他社に確実に使われないという意味で特許申
> 請しない方が有利なのかも。

特許制度を使わなきゃ独占できない、という特許の最大の魅力が得られないんですよね。
でも例えば有名どころですとコカコーラの製造方法は特許で守るのではなく
製品から製造方法は分からないということで完全にノウハウとして秘密の状態で守っています。
経営陣トップ3くらいまでしか知らないとかなんとか。

ノウハウとしてあえて公開せずひっそりと使うか特許として独占するかは
そのアイデアの大小やバレにくさや経営方針等によって色々だと思います。


> 特許を取らず非公開にするよりも、各国で特許を取りまくった方が結局他社が
> 使えないという意味では同じなのでむしろこちらの方が有利なんじゃ
> ないかなと思ったのですが、どうもそうでないケースもあるようですね。

特許制度は各国ごとに独立で、日本に出願しただけでは他国では
権利は発生しません。勿論日本で公開されれば他国で権利化することもできませんが。
だから他社に独占させないためには公開してみんなで使いましょって感じ。
いや、絶対独占したいという場合には、各国に出願しまくり。

韓国・中国などでは、日本の特許庁のホームページから公開公報をガンガンチェックして
技術を盗みまくってる、というウワサです。
ってなんか回答になっていませんねぇ。。。


> 既に利用されている技術として、特許は得られないのではないでしょうか

松下が秘密状態ではなく公然実施をしている場合でしたら、
他社は特許は得られませんね。世に知られた何ら新しい技術ではないので。

でも秘密状態で実施している場合には、後に他社が発明したとしても
他社が特許を得られることになります。
松下が先に開発してたんだよ!と騒いでもダメです。
世には知られていない→新規なものとなります。
その場合は、↑のほうにも書きましたが松下には先使用による通常実施権が与えられますが、
松下は独占はできない、ということになります。


> 見た目で分かるようなアイデアではなく、製造工程に於いて画期的な手法が使われ
> ているといった外見で分からないアイデアなんだと思います。

これ、特許権者が権利行使をする場合にも問題になり得るものなんです。
製造方法の発明で特許を取ったものの、他社の製品を見ても
どうやって作っているのか最終製品からは見て取れないことが多々あるので、
侵害してそうなんだけど発明が使われているのかどうかは相手の工場までいって
覗かなきゃ分かりません。


っとまぁ長くなりましたが、少しでも疑問が解消できましたでしょうか?


[No.23771] Re: 特許のお話 投稿者:とき  投稿日:2006/07/28(Fri) 23:12

≫ なまい さん


 どうも丁寧に解説していただいてありがとうございます。日本では先に発明して実施してたと証明ができれば、先使用による通常実施権が与えられて、無償のライセンスが自動的に与えられた状態になるのでその技術を使えなくなる事がないが、ライセンスでは儲けられなくなるという事ですね。という事は、自社の生産力やブランド力に自信がある場合は、非公開の方が得だという事ですね。
 それと、アメリカが先発明主義だからといって、発明を実施してから出願するのがあまりにも遅れると、発明の放棄又は秘匿とみなされて特許を受けられなくなるんですね。


[No.23794] Re: 特許のお話 投稿者:なまい  投稿日:2006/07/30(Sun) 23:53

≫ とき さん

> その技術を使えなくなる事がないが、ライセンスでは儲けられなくなるという事ですね。という事は、自社の生産力やブランド力に自信がある場合は、非公開の方が得だという事ですね。

どうでしょう。私は技術力に自信があるならば「独占」したいと思うのが普通だと思うのですが。
ライセンスで儲けようと思うのではなく、独占してオンリーワン製品を提供できるほうが良いと思いません?
そうすると、実際に事業を行っている技術については、ライセンスよりも独占的な使用のほうが得だと思います。


[No.23774] Re: 特許のお話 投稿者:蜻蛉  投稿日:2006/07/29(Sat) 05:00

 なまいさん、とても丁寧で分かり易い解凍ありがとうございます。
特許取得及び技術非公開のメリット・デメリットがよく分かりました。
この辺りは経営の戦略として使われていることも実に説得力があります。

 特許には独占権があるのですが先使用者には及ばないと言う点は初めて
知ることができ非常に勉強になりました。大方の疑問はすべて解決致しました。
各国で特許を管理するのではなく世界中で一元管理しようと言った提案が
あったと思うのですが、あれってどうなったんでしょうかね。 (^_^;


[No.23783] Re: 特許のお話 投稿者:  投稿日:2006/07/30(Sun) 01:29

≫ 蜻蛉 さん

>  特許には独占権があるのですが先使用者には及ばないと言う点は初めて
> 知ることができ非常に勉強になりました。

これは大きな勘違いです。
先使用者が「秘密」にしていれば「公知」にはならないので特許を取得・独占できます。
逆に皆が知っている状態ならば「公知」なので特許にはなりません。


[No.23786] Re: 特許のお話 投稿者:蜻蛉  投稿日:2006/07/30(Sun) 04:33

> >  特許には独占権があるのですが先使用者には及ばないと言う点は初めて
> > 知ることができ非常に勉強になりました。
> これは大きな勘違いです。

 蔵さん、コメントありがとうございます。
わたしの理解が不十分なのかいくつか疑問が残ります。

> 先使用者が「秘密」にしていれば「公知」にはならないので特許を取得・独占できます。
> 逆に皆が知っている状態ならば「公知」なので特許にはなりません。

 そうすると最初の質問に戻って恐縮なのですが、

>> 特許については詳しくないのですが、特許を取らず非公開にしている場合、
>> 万が一他社が同じ技術を後から開発し特許を取っちゃったりすると、今まで非公開で
>> 使用してきた松下は、その技術を使えなくなっちゃったりする危険はないんですかね?

の回答は「松下はその技術を使えなくなる」ということで宜しいのでしょうか。
となると特許を取らずに非公開にする手法は極めてリスクの高い戦略と言えるかも
しれませんね(もちろんハイリスクハイリターンだとは思いますが…)。


[No.23788] Re: 特許のお話 投稿者:  投稿日:2006/07/30(Sun) 09:37

≫ 蜻蛉 さん

>  そうすると最初の質問に戻って恐縮なのですが、
>
> >> 特許については詳しくないのですが、特許を取らず非公開にしている場合、
> >> 万が一他社が同じ技術を後から開発し特許を取っちゃったりすると、今まで非公開で
> >> 使用してきた松下は、その技術を使えなくなっちゃったりする危険はないんですかね?
>
> の回答は「松下はその技術を使えなくなる」ということで宜しいのでしょうか。

結論から申しますと「その技術は使えなくなる」となります。

特許の取得のおおまかな流れは
出願→公開→審査請求→公告

出願した時点では特許として認められません。
「公開」の時点で松下は「その技術はうちで使っているよ」と意見して特許を取られないようにする必要があります。
また、その技術が誰でも知っている状態(公知)でなければなりません。
会社内で非公開に行われている技術は「ノウハウ」「秘伝」であり一般の方は知りません。
なので他社が特許を取得しようと働きかけた場合に反論することすら出来なくなります。

> となると特許を取らずに非公開にする手法は極めてリスクの高い戦略と言えるかも
> しれませんね(もちろんハイリスクハイリターンだとは思いますが…)。

上記に書きましたが、非公開にすることはハイリスクです。
自社がその技術を使えなくなるだけではなく、他社に特許を持っていかれる可能性があるからです。


[No.23796] Re: 特許のお話 投稿者:なまい  投稿日:2006/07/31(Mon) 00:20

蔵さん、お初です。なまいです。

少々整理しましょう。
まずは特許法第79条(先使用による通常実施権)というのをチェックしてみてください。

松下が独自に発明したけど出願することなく実際に工場内で極秘に実施されていたとします。
この状態でキヤノンが同じ発明を独自にして特許出願をしました。

さて、キヤノンの出願はどうなるでしょう。
松下の実施は公然実施ではないので、他に問題がなければキヤノンの出願は特許になります。

松下が、公然に実施していたと文句を言える状況で実施していたならば、
勿論キヤノンの出願を特許にならないようにすることもできますし、
仮に特許になっていたとしても無効だと言うこともできます。

では、この場合、松下はキヤノンの出願の前から善意で実施しているのに、
その実施を継続できなくなるのは公平の観念に反するでしょう、ということで、
先使用者の実施継続を認めるべく、先使用権というのが認められています(特許法79条)。

というわけで、松下はそのままその発明の実施を継続できます。
一方、キヤノンは特許になったものの、松下の実施に文句は言えないけども、
それ以外の者には独占的な権利が与えられることになりますので、
キヤノンも実施できます。

松下側からの立場で考えると、その技術についてキヤノンの独占権を良かれとするか否か、
松下が使えてれば独占できなくてもいいやと思うか否かで
ノウハウとして利用するか特許出願するかという選択になります。
ただ、蔵さんがおっしゃるように、ハイリスクであることは間違いないです。
新しい技術は出願しましょう(苦笑)

なお、先使用権が認められるためには、他社による出願の際現に使っているかその準備を具体的にしている必要があるため、これを証明するのが厄介でして、
具体的には公証人の認証をもらっておいたりするようです(私は未経験ですが)。


こんなところでよろしいでしょうか?
雑談掲示板ですので割と突っ込んで書いてますが、まぁたまにはこんな話題も良いですよね!?


> >  そうすると最初の質問に戻って恐縮なのですが、
> >
> > >> 特許については詳しくないのですが、特許を取らず非公開にしている場合、
> > >> 万が一他社が同じ技術を後から開発し特許を取っちゃったりすると、今まで非公開で
> > >> 使用してきた松下は、その技術を使えなくなっちゃったりする危険はないんですかね?
> >
> > の回答は「松下はその技術を使えなくなる」ということで宜しいのでしょうか。
>
> 結論から申しますと「その技術は使えなくなる」となります。
>
> 特許の取得のおおまかな流れは
> 出願→公開→審査請求→公告
>
> 出願した時点では特許として認められません。
> 「公開」の時点で松下は「その技術はうちで使っているよ」と意見して特許を取られないようにする必要があります。
> また、その技術が誰でも知っている状態(公知)でなければなりません。
> 会社内で非公開に行われている技術は「ノウハウ」「秘伝」であり一般の方は知りません。
> なので他社が特許を取得しようと働きかけた場合に反論することすら出来なくなります。
>
> > となると特許を取らずに非公開にする手法は極めてリスクの高い戦略と言えるかも
> > しれませんね(もちろんハイリスクハイリターンだとは思いますが…)。
>
> 上記に書きましたが、非公開にすることはハイリスクです。
> 自社がその技術を使えなくなるだけではなく、他社に特許を持っていかれる可能性があるからです。


[No.23810] Re: 特許のお話 投稿者:SKOJI  投稿日:2006/07/31(Mon) 22:21

> 蔵さん、お初です。なまいです。
>
> 少々整理しましょう。
> まずは特許法第79条(先使用による通常実施権)というのをチェックしてみてください。
>
> 松下が独自に発明したけど出願することなく実際に工場内で極秘に実施されていたとします。
> この状態でキヤノンが同じ発明を独自にして特許出願をしました。
>
> さて、キヤノンの出願はどうなるでしょう。
> 松下の実施は公然実施ではないので、他に問題がなければキヤノンの出願は特許になります。

法解釈はなかなかむずかしいですね。
僕は次のように解釈してます。

販売時点で技術を公開しているかどうかは関係ないと思います。
だれも好き好んで、機能を実現するための極秘の技術を公開しません。

従い、キャノンが出願した時点で、発売済みの機器に
その技術が使われていることを、ドキュメントで証明できれば、
特許はつぶすことは可能なはずです。極秘の技術でも製品実施時期
を証明するドキュメントは必ず存在します。

さて、何らかのいきさつで、キャノンが特許を取得しても、
松下の技術は極秘ですからキャノンも見破れないでしょうから、
特許が成立しても松下は、特許侵害を問われるリスクは少ないです。

そして万が一、キャノンが見破ったとき、そのときはおっしゃっれるような
松下の、先使用による通常実施権が行使されます。

一般的には、自社の技術が他社の特許になることのメリットはなく、
公開技法の見逃しなどで、特許をつぶし忘れたときの救済として、
先使用による通常使用権があるように思えます。

公然と実施 の表現がわかりにくかったので発言しましたが、
僕の発言は、なまいさんの解釈とおなじことの言い直しかもしれません。
その場合ご容赦を。


[No.23812] Re: 特許のお話 あえて出願しないとき 投稿者:SKOJI  投稿日:2006/07/31(Mon) 23:22

≫ SKOJI さん

> 販売時点で技術を公開しているかどうかは関係ないと思います。
> だれも好き好んで、機能を実現するための極秘の技術を公開しません。
>
> 従い、キャノンが出願した時点で、発売済みの機器に
> その技術が使われていることを、ドキュメントで証明できれば、
> 特許はつぶすことは可能なはずです。極秘の技術でも製品実施時期
> を証明するドキュメントは必ず存在します。
>

ついでに、メーカーがあえて特許を取得しない戦略を選ぶのは
大きくわけて2つの場合あるようです。
メーカーは他社製品を分析して、どのように追いつくかを
研究しているだろうということを踏まえて。

1.微妙なノウハウであり、他社が容易に見抜けない場合。
  かつ、自社の性能の優位性に絶大な貢献がある場合。
2.侵害を見破ることが困難な場合。

以下はあくまでも例です。実際ははこんな単純なことではなく
もっと高次元な技術・戦略になると思われます。

CCDシフト手振れ補正という概念を特許にする場合、実現手段は
すぐに他社が真似しますし、侵害を見破る事も容易です。
これは、特許とすべき内容です。

微妙なノウハウの例です。
CCDシフトのCCDを円滑に動作させるために使っている油の
配合が、性能に非常に重要な貢献をしている場合があったとします。
これを他社が見抜けるはずがないと判断したら、あえて出願せず
ノウハウとして隠すかもしれません。

侵害を見破りにくい例です。
CCDシフトのアルゴリズムは、動作をいろいろ分析すればわかっちゃいますので
特許にしたとします。しかし隠し味的に入っている細かい制御とか、CCDシフトを
より高速に処理するためのコンパイル前のプログラミング言語レベルでの
ソフトウェアの組み方などは、特許にした場合侵害を見つけることは不可能です。
したがって、わが社の秘密の制御をどうぞ使ってくださいといってるようなものです。


[No.23816] Re: 特許のお話 あえて出願しないとき 投稿者:なまい  投稿日:2006/08/01(Tue) 01:21

≫ SKOJI さん

物の発明(プログラムも含む)は、売ってしまうとバレてしまうことが多いです。
侵害する側も、侵害品を売っていればバレやすい。
だから新規な物については、特許を取るべきですね。

取って意味あんの?とよく言われているのは製造方法の発明ですね。
出来上がった物は既に目新しいものではない場合。
出来上がった物を解析してもどう作ったかはよく分からない。

こういう発明の場合には、侵害者がいたとしても、特許権者は製品を見ても
自分の製造方法を使ってるのかどうか分からないから、侵害だ!と訴え難い。
生産ラインにおける効率を上げる方法とか、ちょっとしたアイデアはノウハウとして
温存する場合がありますね。

工場内にスパイを送らなきゃ侵害されているかどうか分からん、という状況でも、
裁判起こせば侵害者側が自己の具体的な態様を明らかにしなきゃいけないという規定があるので、
ある程度なんとかできなくはないのですが、まったく根拠もなくたーだアヤシイってことで訴えるのもなんですし。。。

従来技術との差異を物の構造とかで特徴付けられるのであれば、
極力物で権利を取った方が良いと考えられているのはそんな背景からです。
まぁ単純方法とかではしょうがないですが。


[No.23815] Re: 特許のお話 投稿者:なまい  投稿日:2006/08/01(Tue) 01:09

--> SKOJIさん、なまいです。

せっかくですので、もうちょっと突っ込んだ話を進めさせてもらいますね(^^)

> だれも好き好んで、機能を実現するための極秘の技術を公開しません。

特許権という独占権というのは、技術を公開することの代償として与えられるものなので、
公開が大前提となります。


> 従い、キャノンが出願した時点で、発売済みの機器に
> その技術が使われていることを、ドキュメントで証明できれば、
> 特許はつぶすことは可能なはずです。極秘の技術でも製品実施時期
> を証明するドキュメントは必ず存在します。

実は実施していたんです、というドキュメントがあったとしても、
ドキュメントが公開されていなければそれを根拠に特許をつぶすことはできません。

特許権が与えられるためには、発明が新規なものであるという「進歩性」がなければいけません。
(さらに非容易という「進歩性」がなければいけませんが、ここでは省略させていただきます)

新規性というのは、特許法第29条に規定されているので興味のある方は参照していただくとして、
簡単に言うと、「公然知られた発明」「公然実施された発明」「頒布された刊行物に記載された発明」は、新規性がないとされます。

ここで「公然」というのは、秘密を脱した状態を意味していて、これはバレた人の多少は問題ではなく、守秘義務があるかないかで判断されます。
工場内で多数の者が分かる状態で実施していても、守秘義務がある者たちであれば、
これは公然実施していることにはなりませんので、新規性はあるとされます。
逆に、一般ピーポーが工場に勝手に入れる状態で、発明の内容が分かる状態になっている場合には、一人にバレても公然実施になりますので、新規性はないとされます。

それと、「刊行物」というのは、公開を目的とする文書などを意味しているのですが、これが頒布(=配布)された場合には、新規性がないとされます。
配布されていなければ新規性はあります。

これを踏まえて↓の疑問点を考えてみましょう。
> 従い、キャノンが出願した時点で、発売済みの機器に
> その技術が使われていることを、ドキュメントで証明できれば、
> 特許はつぶすことは可能なはずです。極秘の技術でも製品実施時期
> を証明するドキュメントは必ず存在します。

ドキュメントがあってもそれが極秘文書であれば、後に他社が出願した同一の発明は
新規性はあるとされてしまいます。
したがって、他に問題がなければキヤノンの出願は特許になってしまうのです。
無効審判でもつぶせません。


> そして万が一、キャノンが見破ったとき、そのときはおっしゃっれるような
> 松下の、先使用による通常実施権が行使されます。

ちなみにニュアンスの問題なのですが、先使用による通常実施権というのは、
「実施する権利」というよりも、「特許権者から文句を言われない権利」という意味合いが強いものです。


> 公然と実施 の表現がわかりにくかったので発言しましたが、
> 僕の発言は、なまいさんの解釈とおなじことの言い直しかもしれません。
> その場合ご容赦を。

スミマセン、ちょっと説明が分かりにくかったかもしれません。
疑問点があればまたコメントください。


[No.23795] Re: 特許のお話 投稿者:なまい  投稿日:2006/07/30(Sun) 23:59

蜻蛉さん、お隣の掲示板ではなんだか蜻蛉さんにごぶさたしております、のような
コメントになってしまっておりましたが、昔からの皆さんにごぶさたということでして、自動的に「≫ 蜻蛉 さん 」と付いてしまいましたので。。。
お初でしたm(..)m

# えっと、久しぶりついでにご報告させていただくと、最近EOS-1Ds MarkIIゲットしました!フフフ


> 各国で特許を管理するのではなく世界中で一元管理しようと言った提案が
> あったと思うのですが、あれってどうなったんでしょうかね。 (^_^;

アメリカは「オレの国の特許法が最強なんだからお前らの法律をオレらに合わせろよ」という態度なんですが、
アメリカ以外の国はみんな先願主義だし、アメリカだけ特殊ってのが多いので、
オイオイって感じでなかなか統一法は難しいですねぇ。

出願の方式統一法としては国際特許出願(PCT出願)というのがあってかなり使われているのですが、特許にするかどうかの審査に関しては各国ごとでハードルの高さも
色々ですし、なかなかまだ統一はできなそうですねぇ。